先日、美術館巡りをやって来ました。と言っても世田谷美術館と広尾の山種美術館だけですが・・。世田谷美術館は「岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜」を、山種美術館は「Kawaii(かわいい)日本美術ー若冲・栖鳳・松園から熊谷守一までー」の展覧です。

岸田吟香・劉生・麗子親子三代の内、麗子像でおなじみの劉生とモデルの麗子は良く知られていると思いますが、父の吟香や麗子のその後、については如何でしょう?私は知りませんでした。と言う訳で出かけて見ました。

何と父吟香は勤王の志士で、東京日日新聞の記者、実業家、教育者、はては目薬「精錡水」販売の薬業界の大立者だったそうです。書画、美術にも秀で、その血が劉生に伝わったのでしょう。麗子も後に画家、そして「父岸田劉生」の著作家となりました。

所で劉生の麗子像は、確かに人を引付けますが、何か怖いものを感じさせませんか?私は前々から麗子はどんな顔をしていたのだろう?と気になっていました。今回、彼女の子供から妙齢の写真を見て、大変かわいく、美しいのを知り、麗子はもっと美しく描いてほしいと思った事は無かったのか?なんてバカな事を考えてしまいました。きっと体が弱かった劉生の、凝縮したかわいさ想いが籠った麗子像だったのでしょうね・・。

山種美術館では、まず入口からの長い行列にびっくり。こんなの初めてです。しかも若い人が多い。いつもは日本画専門館らしく年配の人達がちらほら・・。伊藤若冲の「樹花鳥獣図屏風」人気もあるのでしょうが、やはり「Kawaii」が人を呼び寄せたのではないでしょうか!

確かに、入ってすぐ目に入るのが長沢芦雪の「唐子遊び図」。まるで寺子屋で優等生から餓鬼大将達がワイワイガヤガヤ勉強したり喧嘩したりしている、正に「かわいい子供達」の絵でした。世の東西・今昔を問わず、かつ、原則種を問わず子供に勝る「かわいい」は有りません。最後は週刊新潮でおなじみの谷内六郎の「にっぽんのわらべうた」、「ほ ほ ほたるこい」等、思わず小声で歌ってしまいました。

両館を通じ、「親の子供への想い」「子供の親への信頼」そして純粋に(多分本能的に)「子供のかわいさ」に、程よく疲れほのぼの癒された、気持ち良き1日でした。