今や英語の重要性は誰もがひしひしと感じるご時世ですが、やはり英語を母国語としない国民、特に文法的にもかなりの差異を感じる我々日本人にとっては英語でコミュニケーションを取るのは一苦労です。そんな非英語圏の人々にとって勇気ずけてくれる小話を一つ。分子生物学で著名な福岡伸一先生著の「できそこないの男たち」(光文社新書)からの抜粋です。

この福岡先生の「できそこないの男たち」は、性質・能力が劣っている男たち、あるいは「男」が「女」に比べて劣っている、と言う意味ではありませんので・・。その意味は、生物学的に生命の基本仕様は「女」なので、と言う意味です。チョット気になりますので念の為。今日の話はその事が主題ではありませんが、この話も興味深いので、後日ご紹介しようと思っていますが・・・。

ある大きな国際学会での事だそうです。学会開催宣言の基調講演がスイスの重鎮学者により行われた時の事、彼は威厳に満ちた重々しい足取りでゆっくりと壇上に上がり開口一番、こう言ったそうです。「科学の世界の公用語は、皆さん、英語であると当然のようにお考えになっていると思いますが、実は違います」

会場の人々は、一体何を言い出すのか・・とびっくりして息を呑んで注視しました。彼はドイツ系スイス人で、その英語はドイツなまりのお世辞にも流暢とは言えない代物。まさかドイツ語・・・と言うのでは・・・。と、果たして彼はこう言ったそうです。

「科学の世界の公用語は、へたな英語(プア・イングリッシュ)です。どうかこの会期中、あらゆる人が進んで議論に参加される事を望みます」。会場からは大きな笑いとそして拍手が沸き起こり、この学会では、どのセッションでも、アジアから参加した非英語民の活発な発言が目立ったそうです。

科学の世界だけでなく、どんな分野でも英語が世界の公用語となっている今日、流暢に使いこなせるにこした事はありませんが、何より大事なのは下手でも臆せず自分の考えを持ち、主張し、同時に、真摯に人の話を聞く事、その事こそが何より大事である。

この学会の重鎮はそう教えてくれていますね!!その為には、英語をしっかり勉強する事は勿論ですが、同時に自分を磨くために諸々の勉強や鍛錬に日々、そして弛まず、勤しむ事が何より大切なのだとつくずく思い知らされます。皆さん、頑張りましょう!!!