「世界はひとつの教室」これが本のタイトルです。   今回は現在の「教育」のあり方に大いなる一石を投じ、これからの教育スタイルに多大な示唆を与える一冊の紹介です。著者の名はサルマン・カーン。世界中のすべての人に無料で教育を届けたいと本気で考えている組織「カーンアカデミー」の創設者です。

彼は言います。「昔ながらの教室(学校)は、今や古く、子供達を年齢別のグループ(学年)に押し込めて画一的なカリキュラムを与えその中で彼らが何かを得てくれたらいい、と考えるそんな代物。世界は、技術の進歩により可能となったより効果的な教育方法や学習法によってもっともっと能動的な情報処理を必要としている。」

更に言います。「なぜ、指導や学習の根幹部分は教室と言う限られた場所で、チャイムやベルを合図に行われるべきだとこだわるのでしょう?テクノロジー(IT技術)には、教育を、もっとポータブル、フレキシブル、パーソナルにする力があります。その事により、世界はますます小さくなり、人々のつながりがが深まるにつれ、世界そのものが1つの広大で垣根の低い学び舎の様になる筈。」

たしかに子供は十人十色、一人として性格、能力、環境が同じ子はいません。本来一人一人に則した教育がなされるべき。でも学校ではそれは難しい。しかしIT技術の進歩は色んなツールや仕組みを提供し、本来の教育の有り様を可能にしつつあります。すららの勉強スタイルもその一つです。その子その子、その時点その時点に最適なカリキュラムで最大限、その子の能力を引き出したいものです。

今まで常識として矛盾なく受け入れていた教育システムの是非を考え直させてくれる、そして、本来の教育とは、これからの教育の在り方とは、を考えさせてくれる有意義な一冊です。教育関係者、親御さんは勿論、教育を待ち望み渇望するすべての人々に是非目を通して頂きたい一冊です。2013年5月 ダイヤモンド社より第1刷発行です。