今回は、中室牧子氏著「「学力」の経済学」、第4章”少人数学級”には効果があるのか?・・科学的根拠なき日本の教育政策 その8 日本で少人数学級を推し進めるべきかどうかの結論 です。

前回は、日本では「少人数学級の因果効果」について「自然実験」により行われた研究があるとの著述をご紹介しました。それではその結果は如何なるものだったのでしょうか?中室氏は、慶應義塾大学の赤林教授らの「自然実験」を紹介しています。以下に氏の記述を原文で示します。

慶応義塾大学の赤林教授らは、横浜市がこの仕組みを採用していることに着目し、少人数学級が子どもの学力にもたらす因果効果を推計しました。その結果、少人数学級の因果効果は、小学校の国語には学級規模が1人小さくなると偏差値が0.1上昇する効果が確認されていますが、小学校の国語以外の科目や中学生には、効果がみられませんでした。

更に、氏は日本で少人数学級を推し進めるべきかどうかについて以下の様に続けています。

国内外の研究蓄積を見る限り、少人数学級を推し進める理由は見当たりません。巨額の財政赤字を抱えている日本で、「少人数学級になるときめ細かい指導ができる」等と言う根拠のない期待や思い込みで、財政支出を行うのは極めて危険だと言わざるを得ないのです。

今回で、中室牧子氏著「「学力」の経済学」のご紹介は終わりです。傾聴すべき点多々だったと思いますが皆さんは如何だったでしょう!!次回からは新シリーズです。是非ご一読下さい。