今回は、中室牧子氏著「『学力』の経済学」の記述の中から傾聴すべき幾つかのテーマについての2回目、第2章 子どもを”ご褒美”で釣ってはいけないのか?からです。

ここには興味深くかつ極めて重要で貴重な提言が多々あります。例えば、「テストで良い点を取ればご褒美」と「本を読んだらご褒美」-どちらが効果的? 「お金は良いご褒美なのか」、「子どもはほめて育てるべきなのか」、「頭がいいのね」と「良く頑張ったわね」-どちらが効果的?等々。何回かに別けてご紹介して行きます。

まず今回はその1として「テストで良い点を取ればご褒美」と「本を読んだらご褒美」-どちらが効果的?です。皆さんはどちらだと思われます?

結果は「本を読んだらご褒美」との実験結果だそうです。。氏の解説はこうです。

人間にはどうも目先の利益が大きく見えてしまう性質があり、それゆえに遠い将来のことなら冷静に考えて賢い選択が出来ても、近い将来の事だと、たとえ小さくともすぐに得られる満足を大切にしてしまう。つまり「「テストで良い点を取った場合の大きなご褒美」より「本を読んだ場合や宿題をした場合の小さなご褒美」を選んでしまうと言う訳です。つまり「目の前ににんじん」作戦が有効と言う訳です。この「目の前ににんじん」作戦は、上記性質を逆に利用し、子どもを、今勉強する様に仕向け、勉強する事を先送りさせないという戦略なのです。

氏は、ハーバード大学のフライヤー教授によって行われた「ご褒美の因果関係を明らかにする実験」を実際に明示し、ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだ、と結んでいます。