今回は、中室牧子氏著「『学力』の経済学」からの3回目、第2章 子どもを”ご褒美で釣ってはいけないのか?・・その2「お金」は良いご褒美なのか?・・です。

「お金」は良いご褒美なのか、の前に「ご褒美としてお金を与えて良いものか?」と逡巡される親御さんたちも多く居られると思います。更に、そもそも「ご褒美で子どもを釣るとは!ご褒美が子どもの「一生懸命勉強するのが楽しい」と言う気持ちを失わせるのではないか?との疑問をお持ちの方々も多いと思います。

氏はこの点についてもハーバード大学のフライヤー教授の検証の結果、つまり「ご褒美」という外的インセンティブが「一生懸命勉強するのが楽しい」という様な好奇心や感心によってもたらされる「内的インセンティブ」を失わせない、事を示す実験を紹介しています。すなわち、ご褒美が子どもの「一生懸命勉強するのが楽しい」と言う気持ちを失わせる事はないと言う訳です。

そうすると次の問題は、ご褒美として「お金」はふさわしいのか?と言う問題です。この問題については、氏はシカゴ大学のレヴィット教授等の実験を上げて次の様に記述しています。

この実験からもわかる様に、子どもが小さいうちは、トロフィーの様に、子どものやる気を刺激するような、お金以外のご褒美を与えるのが良いでしょう。一方、同じ実験の中で、中高生以上にはやはりトロフィーよりもお金が効果的だった事もわかっています。私は金額や与え方を間違わなければ、お金はそんなに悪いご褒美ではないと思っています。お金というご褒美を頭ごなしに否定するのではなく、金融教育も同時に行えば、子ども達は、お金の価値に加えて、貯蓄する事の大切さまでも学んでくれるのです。