今回は、中室牧子氏著「『学力』の経済学」、第2章子どもを”ご褒美”で釣ってはいけないのか?・・その5・・「子どもの学習時間を増やす為には何をすれば良いのか」・・です。

テレビやゲームをやめさせることに殆ど意味が無いならば、一体何をすれば良いのでしょうか? ここでのキーワードは「勉強しなさい」はエネルギーの無駄使い、お手軽なものに効果はない、です。これについて氏は中室研究室の研究成果を示し解説しています。

その研究とは、小学生低学年の子どもの親の家庭学習の関わり方を「勉強したか確認している」「勉強を横について見ている」「勉強する時間を決めて守らせている」「勉強するように言っている」の4つに分類し、その父母それぞれの関わり方がどの程度子どもの学習時間の増加に貢献しているのか、を分析したものです。結果は以下の通りです。

①父母ともに「勉強するように言う」のはあまり効果なし。むしろ母親が娘に言うのは逆効果。
 「勉強するように言う」のは簡単だが、この声かけの効果は低くエネルギーの無駄使い。
②「勉強を見ている」「勉強する時間を決めて守らせている」という、親が自分の時間を犠牲にせざるを得ない手間暇
   のかかる関わりは、かなり効果が高い。つまり「お手軽なものに効果はない」
男の子なら父親が、女の子なら母親がかかわると良い。

なんと子育ては親にとって手間暇の掛かるものなのでしょうか!でも氏は同時に研究成果でこう説明しています。「祖父母や兄姉或いは親戚などの”その他の同居者”が手間暇かけた場合でも親とあまり変わらない効果が見込める」と・・。そして「すべてを親が抱え込む必要はありません。困ったときは、学校や塾、家庭教師の先生なども含む身近な人に頼って良いのではないかと、私は思います」と結論しています。