今回は、中室牧子氏著「『学力』の経済学」、第3章”勉強”は本当にそんなに大切なのか?・・その1・・認知能力と非認知能力・・です。

前回で「人的資本への投資はとにかく子どもが小さいうちに行うべき」なのは分かりましたが、では大事なのは人的資本の何でしょう?学力そのものでしょうか?それとも別のもの?ここで、認知能力と非認知能力と言う言葉が出てきます。

認知能力は、IQや学力テストで計測される能力の事で、非認知能力とは「忍耐力がある」「社会性がある」「意欲的である」と言った、人間の気質や性格的な特徴の様なものを指します。

氏はここで「シカゴ大、ヘックマン教授らの業績、ペリー幼稚園プログラム、と呼ばれる幼児教育に関する研究」を詳細に紹介しています。ペリー幼稚園プログラムの質の高い幼児教育は、確かに学歴・年収・雇用などの面で大きな効果を上げ、しかもその効果が長期にわたって持続した事、を示しています。

しかしその結果を良く分析すると、「質の高い幼児教育を受けることによって、IQの差は小学校の入学前(4~5歳頃)にはそれなりに大きかったものの、8歳前後で差はなくなってしまう」つまり「認知能力は3~8歳頃までは効果が見られるが、8歳頃で失われ、決して長期にわたって持続はしない」と言う事でした。

では認知能力に差が無ければ何が大きな差や効果に結び付いたのでしょうか? 次回、大事な本質に迫ります。