今回は、中室牧子氏著「「学力」の経済学」、第3章”勉強”は本当にそんなに大切なのか?・・その8・・非認知能力を過小評価してはいけない・・・です。第3章での最終項です。

氏は、学力や成績の「認知能力」もさることながら、「自制心」や「やり抜く力」等の「非認知能力」がより重要である事を示して来ました。ここでは、「子どもの認知能力と非認知能力に対する教育(投資)の在り方」について氏の持論、結論を述べています。そして現状への疑問、忠告を示しています。それらを以下に原文に忠実に記します。勘案すべき提言だと思います。

子を持つご両親の多くは、お子さんの学力テストの結果に一喜一憂しがちです。点数や偏差値ではっきりと数値で表すことができ、その変化もよくわかる学力は当然気になるものでしょう。一方、非認知能力は数値化が難しいだけでなく、どれほど子供の将来の成功にとって重要なものなのか、今まで十分に示されてきませんでした。この結果、きちんとしつけをすることよりも、テストで100点を取らせることの方が大事だという価値観が、私たちの社会に根ずいてしまっているようにも感じます。もちろん、学力は重要でないというつもりは毛頭ありません。しかし、これまでの心理学の貢献によって非認知能力は数値化され、そして経済学の貢献によって、非認知能力への投資は、子どもの成功にとって非常に重要である事が多くの研究で示されています。非認知能力は、人生のかなり長い期間にわたって、計り知れない価値を持ちます。しかし子を持つご両親の多くは、この非認知能力が子どもの成功に与える効果を過小評価しておられるように、私には思えるのです。