今回は、中室牧子氏著「『学力』の経済学」、第4章”少人数学級”には効果があるのか?・・科学的根拠なき日本の教育政策 その1 35人か40人か?・・です。

第4章は、副題からも判るように日本の教育政策を意識した内容です。今回はまず、「35人か、40人か?」問題です。

2014年10月、財務省が「1学級35人を見直し40人学級にすべき」との主張をしました。理由は、35人学級の導入の前後を比較しても、いじめや暴力行為の発生割合は変化していないし、40人学級に戻すと86億円の費用を削減できるからです。

これに対して文部科学大臣は、きめ細かな指導には35人学級が「望ましい」と断定したうえで、「国際的に見て日本の教員は多忙感が強く、これではきめ細かな指導はできないだろうから、引き続き少人数学級を推し進めるべきである」と主張しました。

どうです?どちらの主張もピントがズレていると思いません?人数がどうあるべきかは、お金だけでは無いし、学校教育で勘案されるべきはいじめや暴力行為だけでも無いし・・教員が不足だとして、業務の効率化は必要ないのか?不足しているとして幾ら増やせば良いのか?増やせば求める効果が得られるのか?等々・・肝心な視点が明確な根拠で示されていないと思いませんか?

氏は書いています。「残念ながら、日本では実験によって教育政策の効果測定は、ほとんど行われてきませんでした。だから、今回の少人数学級に関する議論でも、信頼できるデータや分析に基ずくエビデンスがほとんど示されていないのです。」

どうやら大事な教育行政が科学的根拠に乏しい状態で議論、決定、実施されている恐れがあるようです。次回からは、現在の研究ではどんな科学的エビデンスが得られているのか!を話題にします!!是非お目通し下さい!!!