前回は第1次「歴史教科書問題」までお話ししました。今回は第2次「歴史教科書問題」のお話しです。

1982年に「近隣諸国条項」が規定されて後、数年して第2次「歴史教科書問題」が発生しました。1986年に、高等教科書「新編日本史:原書房」が編集された所、中国や韓国から批判が寄せられたのです。中国外交部亜州司長が、「多くの記述は、歴史的事実を歪曲するものであり、日本政府が日中共同声明の精神及び1982年8月26日の内閣官房長官談話の内容を遵守してほしい」と伝えて来たのです。この内閣官房長官談話の内容とは即ち、例の誤報問題に端を発し、結果生まれた「近隣諸国条項」を意味します。つまり中国・韓国の歴史認識とずれがあるので修正して欲しいとの申し入れです。

これに対して、すでに内閣本審査に合格していたにも拘わらず、文部省は超法規的処置で、中国、韓国関連を中心とする40か所に修正を要求し、38か所を書き直させました。かくして、中国、韓国の歴史認識を慮った教科書となり、それ以前の歴史教科書と異なった内容となった様です。因みに、中国、韓国には日本の「近隣諸国条項」に相当するものは有りません。

如何でしたか?正直、私は「歴史認識」の諸問題の中で「歴史教科書問題」の存在は知っていましたが、「日本の古代」の記述が今と昔で変わっていた事、日本にのみ「近隣諸国条項」がある事、その誕生のきっかけや政治的経緯、については正確には知りませんでした。

近隣諸国との付き合い方はともかく、「歴史」そのものにこの様な「配慮」が本当に必要で好ましい事なのでしょうか?皆さんはどう思われます?恐らく、人それぞれに異なる意見や考えが有ろうかとは思います。しかし、この様な経緯で、今の子供たちは歴史を教わっていると言う事実を我々は知っておくべきだと私は思います。